第340章

 ただならぬ気配を敏く察したのか、斎藤維は適当な理由を口にして早々にその場を立ち去った。

 残されたのは前田南と望月琛。だが、二人の表情はそれぞれ異なっていた。

 高遠令治の様子がおかしいと気づいたのは、望月琛だけではない。南もまた、同じ違和感を肌で感じ取っていたのだ。

 今日が初対面のはずだ。それなのに、高遠令治が自分に向けた視線には、理由のわからない敵意のようなものが滲んでいた。

 南は思わず眉を顰め、脳内の記憶を総動員して高遠令治に関する情報を探る。

 だが、いくら考えても彼との接点は見当たらない。仕方なく、彼女は隣の男に問いかけた。

「望月さん、あの方とビジネス上で何かト...

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